楽山舎通信

わたじん8の日記です

2019年 ライブ・コンサート鑑賞のまとめ

久々に年末の総括をしてみることにする。

まずは、今年でかけたコンサートのまとめを表にまとめたものを。

 

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2019ライブ・コンサート鑑賞記録

季節的にムラがあるのは、自転車のシーズンは、ブルベのための鉄道移動と宿泊費にカネと時間が回っていくので、行きたいライブがあっても身体とカネが回らないという事情による。よって、春と秋に集中するわけだ。

 

今年1月のブルーノート東京は、パット・メセニー祭りだった。

ジャズオーケストラのゲスト出演に始まって、その後、2つの別なパーソネルとのセッション。本当は3つ見たかったが、2番めの“A NIGHT OF DUOS & TRIOS” with リンダ・メイ・ハン・オウ & グウィリム・シムコック は諦めた。いやでも、これは無理しても行っておくべきだった。ちなみに、1月初旬の仕事は暇だった。が、カネに余裕がなかった。東京行ってライブ見ると、黙って3万円コースなので。

しかし、パット・メセニーの太り過ぎの身体。ギタープレイで椅子に座ってるのは、なんとも痛々しい。プレイそのものも、90年代や2000年代に見ていた大ホールでの熱気あふれる演奏のイメージからはかなり落ちてるという印象を否めない。

どっちかというと、若手ミュージシャンとのセッションで、彼らをインスパイアする役目なのかなという感じ。永年のファンとしては、かなり残念な印象ではあった。

 

4月は、2週続けて福島・郡山で、日本のジャズ界のレジェンドの演奏機会を楽しんだ。

すごく失礼な言い方になってしまうけど、90歳になるジャズピアニスト穐吉敏子さんのライブは、地方公演で「これが最後かも」という思いは少なくなく、貞夫さんにしても86歳。いやでも、彼のプレイを見ていると、あと10年は全く何の心配もないという印象。

 

穐吉敏子さんのコンサートは、福島市音楽堂の小ホールだったけど、座席は半分くらいしか埋まってなくて、彼女が会場を見渡した時の表情が、すごく悲しげだった。貞夫さんのライブは、郡山で毎年恒例だし、FMふくしま主催なのでチケット完売だけど、音楽堂のは、知ってる人が少数だったのか。

でも、彼女の演奏は、日本のジャズ界のパイオニアとしての安定感、年齢を感じさせない力強さ、といっても、自分は生演奏聞いたのはこれが最初なので、彼女がもっと若かった頃の演奏を聞いている人からすれば、やっぱり年老いたなってのが実感になるのかもしれないが。

 

貞夫さんの郡山でのライブは、長年使ってきた富や蔵が昨年からなくなり(ちなみに昨年は郡山公演なしで会津嘉永蔵一本だった)今年からミューカルがくと館という、郡山市の公共施設内の小ホール。個人的には、富や蔵よりもこちらのほうが音が良いという印象だった。富や蔵は、座る場所にもよるんだろうけど、ぎゅうぎゅう詰めの印象の上に、スピーカーのボリューム、その拡がり方がいまひとつ「蔵」という空間の良さを使いきれてなかった気がする。

前の週にステージ上での穐吉敏子さんの演奏を聴いたあとということもあり、4歳若い貞夫さんのプレイスタイルのエネルギッシュさに、「はああ、すげえ」と、ただただ感嘆。サックス吹きながら後ろから入ってくるし、動き回るし、ほんとにすごい。どんどん演奏する。曲間の拍手長いの遮ってどんどん次の曲に入っていく。音楽家は、やっぱり音そのものでどんどん聴き手の心を掴んでいくのが、本当の姿だんだろうな。で、あの笑顔。ほんとにすごい。レジェンドオブレジェンド。

 

5月の連休に、NHKBSでジャズの番組やってて、アルフレッドロドリゲスというピアニストを知り、彼の演奏がブルーノート東京で組まれていたよなってのを思い出し、すかさずチケットとって上京。いや、このピアニストの演奏は、すごい迫力だった。ピアノの音が、「言葉」なんだな。歓喜の表現と哀しみの表現。特に、後者か。

人生体験としての、何らかの、救いようのない哀しみを心の中に持っているピアニストにしか、叩けない、その鍵盤。そんな感じ。ブルーノート東京で、客席係がホール内を歩くのを遠慮してしまうくらいの、迫真のプレイだった。

メリハリというか、会場巻き込んで笑わせるような演奏もできて、なぜかスーパーマリオの曲とか、クインシー・ジョーンズが認めた才能ってのは、理解できた。

 

NHKFMの「セッション」というジャズ番組が、今年から月一回の放送になり、再放送がなくなったのだが、これをチェックしていて、"land&quiet"というユニットを知る。

元々、ギタリストの伊藤ゴローさんの演奏が好きで、「アーキテクトジョビン」というCDを聴き込んでいたが、また別の展開で、音楽表現としてなんだか新しく、ライブあるなら行きたいなと思っていたライブ情報を知り、永福町(京王井の頭線)のsonoriumという、初めて聞いた100席ほどの小さなホール。「いやこれ、福島から行くか?」と思いつつも、お盆休みの8月15日だし、いつものように美術館めぐりと合わせれば3倍楽しめるし、でチケット予約。これが、チケットレススマホに送られてくるタイプ。

sonorium 永福町駅からまっすぐ伸びる商店街の細い道の中に、ホールとは思えない感じ、ちょっとおしゃれな郊外型レストランのエントランス的なファサードに、控えめに店名があって、「知る人ぞ知る」みたいな感じ。この環境で、音楽の演奏大丈夫なんだ、と、立地条件にけっこう驚いた。

がしかし、ホールの空間は、小さめの教会みたいな感じで、すごく近い演奏者と一体って感じで、すごく良いライブだった。

個人的にマークしているのが、ピアニストの佐藤浩市NHKFMのセッションでは、割と頻繁に名前の出てくるピアニスト、という印象。この演奏は、自分好み。

そして、パーカッショニストでボーカルもできる角銅真実。要注目の演奏家。なかなかいないタイプで、赤丸付き急上昇中という感じか。そして、ミュンヘン在住でECMレーベルからデビューした実力派ドラマーの福盛進也。自分は、ドラマーの差をいまいち理解できてなくて、それでも、日本人ドラマーならば、屋敷豪太のアルバムは買って聴き込んでいるし、スティーブ・ガッドも好きだし、わからないなりにも、好きなドラマーはいるけど、音だけ聞いて、「あ、これは誰」ってほどの差は、わからない。

 

で、ここで初めて知ったチェリスト:ロビンデュプイ。存じ上げずにすみませんという感じで。大河ドラマ真田丸のオープニングのチェロ弾いてるのが、彼らしい。

で、この日の演奏の中で、彼の演奏は際立っていたな。ジャズシーンではチェロという楽器を見ることは、なかった。ということもあって、コントラバスウッドベースは普通にジャズトリオの通奏低音部分の担当って感じであるけれども、弦楽器のチェロの立ち位置ってのが、古典的なジャズの中では無いわけで(知らないだけかも)、いや、この日の音楽が「ジャズ」なのかっていわれると、いわゆるフュージョンの派生? いや、ジャンルとしてはなんとも表現できない楽器の世界だったけど、チェロは、ギターよりもしびれたなあ。ロビンデュプイさんのコンサートは、西の方が多いけど、2020年はチェック漏らさずに、どこかのライブを聞きに行きたい一人。

ちなみに、原田知世さんとの相性の良さみたいなのもあり、そのあたりの音の領域が、まさに自分好み。単なる演奏家じゃなくて、スピリチュアルな何かを秘めている、というか、それが音の深みに滲んでいる感じ。

ソノリウムのライブ、台風の日だったけど、すごくよかった。

 

そこから11月まで飛んで、Bunkamuraオーチャードホール(2150席)での大きなイベント、BBCプロムス。これ、イベントの規模が大きすぎて怯んでいたけれども、参加ミュージシャンが「嘘だろ、これ?」ってレベルの凄さで、同時期にブルーノート東京でもリー・リトナーとか参加ミュージシャンのライブあったけど、さらに今年要注目の挾間美帆率いるm_unitの演奏もあり、「これはmast」って感じでチケットゲット。

これについては、別途ブログで詳細書いた。今年聞いた他のライブとは会場のレベルが桁違いってのもあるけれども、自分としては、これが今年のナンバーワンです。

で、このあとで、挾間美帆さんのアルバムが2020年グラミー賞にノミネート。33歳の作曲家。これは、目が話せない。30日31日に、NHKラジオで夏以来2回目となる彼女の番組がオンエア。これはドントミストイット。

 

12月に入って、一本目がクラシックコンサート。元々クラシック音楽は聞いてはいたけれども、学生時代に最も聞いていたのはバロッククラシックだし。

ちょっとクラシック音楽方面のスイッチ入ってしまって、ドレスデンの室内管弦楽団、なんかピンときて、これは聞かなくちゃと、チケットゲット。これが完売にならないのか。

で、何が違うって、音。生音。PAなしの大ホール。ああ、音の違いって、これか。

マイクで拾ってPA通すと、そこで音が作られるけど、生音は、楽器そのものの振動。あるいは、歌い手の声帯の震えがそのまま伝わるのが生音。それは、もはや別世界。

ラジオやCDで再現している電子的に処理されたモノとは、やはり違う。やっぱり違う。

個人的には、好きな楽器のひとつのチェンバロの音が、ほとんど耳に伝わらず、多少難聴気味の耳に、ドンピシャでその周波数なのかもと。
これも、ブログ書いた。

で、今の時点で最後が、9本目で地元の中学校卒業生で音楽の道に進んでいる若手の演奏。これも、ブログに詳細書いた。安達文化ホールで生音の演奏は、やはりやめたほうがいい。PA使えば、なんとでもなるんだろうけど。

 

と、12月26日、起床して出勤前までに大急ぎで回想してみた。

 

この感じだと、2020は生音系のクラシックコンサートが増えそうな予感。

おそらく、パット・メセニーの2020年2月21日発売予定アルバム「From This Place」のアジアツアーで、春に日本公演だろうか。東京オリンピック開催の影響で、5月の連休に前倒しになった東京ジャズに絡んで、5月来日ってのが、ありそうな気もするが、どうだろう。これはmast。外せない。仕事休んでいく。今までもそうだったし。

そんなわけで、2020年も、音楽鑑賞を、究めていく所存なり