楽山舎通信

わたじん8の日記です

ソロ

過去の自分のアドベンチャー振り返ると、大学時代に完了してしまう。

というか、10代から20代初期に経験したことは、その時点での印象がダントツなので、記憶として残りやすいのか。

それと、たぶん大事なことは、企画から実行のすべてを、自分ひとりで行っている、ということなんだろう。自分にとっては。

ブルベ(自転車のロングライドイベント)なんかは、制限時間と決められたコースなど、様々なルールの上に成り立っていて、だとしても、自分が主体的に展開できる計画を作らないと、600キロ以上のブルベを完走することは難しいわけだが、基本的に、自分が考えたルートではないので、走り終わったあとに、「どこ走ったの」ってことをすぐに忘れてしまう。

まあ、基本的には、それほど走っているわけでもないので、「人生の中で」といえるほどにインパクトのあるものは、ブルベなどのサイクリングイベントの中にはないだけの話だ。

自転車で言うならば、高校2年の春休み、実質的に高校最後の自由に使える春休みに、14日間かけて東北一周してきたことが、今の所はもっともインパクトの強いアドベンチャーだ。

ちなみに、高3の夏休みは、インターハイ全国大会の登山競技出場で四国の山を歩いてきたが、これはこれで一つの思い出にすぎず、自分にとっては「ソロ」こそが、もっとも自分らしいスタイルなのである。

高2の東北一周は、刺激が強すぎるというか、ユースホステルビバークで、まだ春浅い東北を走り続けるのは、なかなかにスリリングだった。

すべての計画と準備を自分で行い、二本松の家から走り出して、二本松の家まで自転車で帰ってきた。

2019年は、自転車で北東北に走りに行くことが多かったので、記憶としては、同じような旅の体験なのだけど、やはり、高校生の一人旅で14日となると、大人になってからの一人旅とは全く違うシチュエーションで、条件的に、未成年時代のそこには二度と戻れないのである。

だから、あのレベルで、50歳を超えた自分がアドベンチャーをするならば、場所は必然的に海外になるだろうし、同じ年代(50台後半)の中でもずば抜けた「なにか」がないと、高校時代の自分にはかなわない。

登山でいえば、わざわざそのために大学を留年したとも言える、大学5年、22歳(誕生日前)の時の北アルプス単独大縦走だ。

これを超える登山を、していない。できていない。

白馬から奥穂高まで縦走し、上高地に降りるというプランの原型は、当時の「山と渓谷」に載った縦走のプランを、自分の能力に合わせてアレンジしたものだった。

21日間の、全ての食糧と燃料を持って縦走を続けるのはあまりに厳しく、中間地点として選んだ三俣山荘にデポしに上がる登山から、この縦走ははじまった。 今は廃道となっている伊藤新道で、北アルプスの厳しさを味わう。一気に登れず、途中で天泊。どうなることかと思ったが、結局は白馬から奥穂高までの縦走を成功させた。

このレベルの登山を、今の自分ができるかと言えば、難しいだろう。

学生時代に体育会のワンダーフォーゲル部にいた、ということの集大成が、あの登山だった。

そこから飛躍して行けば、まあ60近くなる今でも、そこそこに北アルプスを歩くことはできるのかもしれないが、ちょっと遠い憧れの地になりつつある。

気がつくと、人生の残り時間は、もうわずかしかない。 ある程度、整理しながらも、登山だけは、このままフェイドアウトさせずに、続けたいものである。