楽山舎通信

わたじん8の日記です

2022年10月30日(日)東京へ(サマリー)

 2022年10月30日、日曜日。

 今年の秋は、恐ろしいくらいに天気が良い日が続いている

 まあ、本当だったら、こんなお天気の日曜日は、紅葉を愛でながらの山歩きでもしているところなのだろうが、これまで何度か書いているが、「趣味が変わった」ようだ。

 「ようだ」というのは、私が意識的に趣味を変えているわけではなくて、60歳を迎えるにあたり、「自ずと」ここに来ている、というような気がするからだ。ちょっと大げさに言えば、「何かに導かれる」感じである。

 10月30日の日曜日も、2週間ぶりでまた上京。前回15日16日は、大学同期との還暦記念の飲み会と、原田知世の40周年記念コンサートがメインで、30日のメインは、バッハ・コレギウム・ジャパンモーツアルトレクイエムであった。

 9月11日に、ファビオ・ルイージNHK交響楽団によるヴェルディのレクイエムを聞き、大げさに言えば、人生の方向性が、上手い流れに乗っていけそうな、そんな感銘を受けた。ちょうどその頃、たまたまモーツアルトのレクイエムの演奏会があることを知り、しかも演奏者は、一番好きなオーケストラ「バッハ・コレギウム・ジャパン」で、ホールも一番テンションがあがる「東京オペラシティコンサートホール・タケミツメモリアル」である。

 行くしかない。

 人生とは、「自らの選択で、己が何者なのかを知る旅」なのである。

 落としてはいけない機会を、何が何でも選び取るだけの、気概があるかないかで、「己(おのれ)」を見出すステージが、変化してゆくものなのである。

 とりあえず、還暦の今年、秋以降で「落とせない」と思われる大事なコンサートをピックアップし、ひとつひとつの鑑賞を自分の歴史の中に刻んでゆく。それは、ある意味で登山と同じで、ひとつひとつの山を自分の脚で登ることでしか得られない経験のようなことを、コンサートホールまで足を運んで、その時間その場所での緊張感を共有することで、自分の身体に刻んでゆくということである。これは、自宅でライブ配信を見ることとは、やはり別次元の話になる。緊張感の共有。これは、ほんとうに重要な点である。

 ところで、10月30日は、父親の命日であった。

 今年は、七回忌にあたり、法要は6日前に済ませた。真夏じゃないので、その時の献花がまだ生き生きとしていて、とりあえず東京に出かける前に墓参りは済ませてきた。おっとりとした性格の父は、茶を一服しながら、美術品を見るのが好きだった。見る対象は少し違うが、美術鑑賞が趣味という点では、やはり親子なのだなと、感慨深いものがある。

 演奏会は、モーツァルト交響曲39番とレクイエムという組み合わせだった。このことは、別のブログにまとめよう。

 その他に、美術展を2つ見た。

 一つは、予約して行った「展覧会 岡本太郎」で、もうひとつは、オペラシティ・アートギャラリーの「川内倫子 M/E」。「M/E」は、Mother Earth。東京都美術館岡本太郎は、大阪の中之島美術館で開催されていた時にー夏休みの頃かー、よっぽど出かけようかとも思ったが、東京に巡回するのを待った。予約チケットは30分単位だったが、これは、30分の定員が何人なのか知らないが、コロナ禍以降でもっとも混雑した展覧会だった。もう人数制限なしなんだ。年齢層もメチャクチャ幅広く、小学生ぐらいのガキが、スマホでバシバシ撮影してるのが普通の状況になっていることに、「ああ、こういう時代だな」と思うとともに、岡本太郎が、このぐらいの子どもたちにも大人気なのかと、びっくりした。「タローマン」の影響が大きいようだ。

 川内倫子は、この写真展で初めて知ったし、オペラシティに行ったら、基本的にはギャラリーにも寄ることにしていて、興味あるなし関係なしに見てくるのだけど、予想外に、この写真とインスタレーションの展示は良かった。映像モノの時間が長くて、動画はちょっとしか見れなかったが、自分の感性に正直に向き合っている感じが、素直に感じられてよかった。光の淡さ加減の表現が、ほんとうに上手い。テーマの「マザー・アース」が頭の中にあることで、単体で見ると意味不明の抽象的なものでも、なんとなくしっくり来てしまうのだった。何を見つめるか、そして、他人にそれをどう表現して伝えるか。単純なことなのだけど、その結果は人によって全然違って、研ぎ澄まされた感性を持つものだけが、芸術的な高みに到達できるのだろうか。あるいは、「地球」に対する、痛いほどの愛情の抽出なのだろうか。

 帰りは、大宮まで湘南新宿ライン使って(初)、3分の乗り換え時間で乗れないと思っていた新幹線に飛び乗った。なぜか激混みで、自由席の3列シートの真ん中の空席にやっと座れたが、その座席は3つともトランヴェールがなくなっていた。鉄道開業150年特集の今月号は、やはり持ち帰る人が多かったのだろうな。まあ、私もゲットしてきたが。

 ということで、コンサートの詳細は、別途ブログに書く予定である。

展覧会 岡本太郎

モーツァルト レクイエム