楽山舎通信

わたじん8の日記です

2022年11月29日

2022年11月29日火曜日。

もうすぐ、2022年、令和4年寅年の、師走がやってくる。歳男で還暦の記念すべき今年が、あとひと月で終わってしまう。なんということだろう。

2023年は、61歳になる。そうして10年もすると、70だ。なんということだろう。立派にジジイじゃないか。まあ、無事に10年生きられたとしての話だ。

私には、仕事上で「師匠」とまでは言えないにしても、強いインパクトを持って私の人生の方向性に影響を与えた人物が2人いる。

一人は、長野県の荒山雅行。もうひとりは、南会津町(田島町)の芳賀沼整である。(師匠とかいいつつ敬称略)

この2人には、様々な共通点がある。わかりやすく言えば、どちらも「破天荒」であるということだ。「常識」というものが、通用しない。ある意味で、大物である。「開拓者」と言ってもいいし、「パイオニア」と言ってもいい。同じことだが。

しかし、この2人をどちらも良く知っているというのは、おそらく私だけだろう。まあ、極めてマイナーな話でもある。

簡単に紹介すると、荒山雅行は林業家であり、芳賀沼整は建築家である。

荒山は、私が長野に住んでいた時に仕事をしていた林家の親方であり、芳賀沼整は、林業から建築業に転職した私に、良い意味でも悪い意味でも、「建築」の世界を教えてくれた人物である。

そう、私は、文系の大学を出たあとに、山好き森好きが高じて信州に移住した。そこで林業の世界に足を踏み入れたあと、林業で出会ったログハウスの世界にあこがれて、建築の世界に足を踏み入れたのだ。その過程において、この2人は、もっとも重要な人物であった、と、言わなければならない。

実は、どちらも、すでに故人となった。もう、この世にはいないのである。

荒山さんは、2012年の11月1日に亡くなった。61歳だった。私は、長野を出てから、全く付き合いのなかった荒山さんの死を、ずいぶん経ってから知ることとなった。

整さんは、2019年12月21日に亡くなった。61歳だった。もう3年になる。

破天荒で、常識に逆らって自分の道を作っていく、という生き方は、2人に共通する。そして、自分のしている仕事に対する「愛」の深さと世界観の大きさというのも、共通する。自分の独創性が、ひとつの世界を作っているという意味において、かたや「林業家」そして「建築家」である。

私は、「◯◯家」にはなりえない、一介の職人に過ぎないが、2人に共通する「木」を通して、ずっと仕事を続けてきたということは、ある意味で私の人生における誇りといえるかもしれない。どちらも「一風変わった」価値観の持ち主で、人の評価を気にしない大胆さがある。

小心者のワタシには、その大胆さが、ない。大胆さ、か。

まあ、ここからでも遅くはないか。