楽山舎通信

わたじん8の日記です

山スキーに持っていく電子機器

2023年3月5日の日曜日。快晴無風で、これ以上無いという登山日和であった。

その前の日曜日に、安達太良山に登り、1600mあたりで強風と視界不良のために撤退してきた。

久しぶりに、会津駒ヶ岳に足を運ぶというプランも頭に浮かんでいたが、日曜日は登山の他にやることもあり、移動に使う6時間がもったいなくて、結局近場の安達太良山にした。自宅からクルマで30分以内で、スキー場にある奥岳登山口につく。

7時半ぐらいにスキー場の駐車場に着いたら、第一駐車場は7割ぐらい埋まっていて(クルマ300台?)、スキー客というよりは、登山客が主のようだった。実際、準備を済ませて歩きだしている登山者が多かった。これには、ほんとうにびっくりした。何があったのか、と考えると、NHKの「ドキュメント72時間」で放送された「くろがね小屋」の番組の影響としか思えなかった。今月で営業の終わる山小屋である。年度末の3月で区切るのが、いかにも県営らしい。

この人の多さに、なんとなく尻込みしてしまい、五葉松平コースを往復するだけの登山にした。くろがね小屋方面に出て、勢至平からスキーで降りてくるのは、ちょっと無理だろうと思った。

結局、往復3時間半、移動時間2時間25分のスピード登山になった。

スキー登山に持ち歩く電子機器

このブログでは、山スキー、スキー登山に持ち歩くいくつかの電子機器のことを取り上げてみたい。

上の写真に見える、5つのアイテムが、私が使っている電子機器、デバイスである。

一番上にある、オレンジ枠の小さいモノが、「ココヘリ」の位置情報発信機。WEBで提出した登山届と連動し、下山予定時刻から7時間経過すると、「遭難の可能性」と受け止められ、緊急連絡先に連絡されて、場合によっては捜索が開始される。ここまで山岳保険でカバーされていて、登山届に基づいたヘリコプターによる捜索で、この発信機からの電波をキャッチしていくシステムになっている。ほとんどソロでしか入山しない自分の場合、山で死んだ場合でも、死体の発見までを保険の範囲内でカバーできるようにしておかないと、残された家族に迷惑がかかる。そういう意味で、ここに上げる電子機器の中では、最も重要と言える。しかし、これはお守りみたいなもので、実際にこの発信情報を使う日が来ないことを祈るわけである。

次に、下の段の4つのアイテムの左側から見ていく。

一番左の大きめの機械が、「ビーコン」。

雪崩で流されたり埋没した場合に、この機器が発信する電波を頼りに捜索されることになる。私が使っているのは、1999年のモノで、年代物ではあるが、一応電波のチェックはしてもらっていて、まだ使える。捜索モードの方も、たまにチェックするが大丈夫のようだ。

ちなみに、雪崩ビーコンの初期型は「アナログ」で、私が持っているのはデジタル化した最初の頃の機械なのだけど、当時、雪崩講習会でビーコンによる捜索演習をしたときに、デジタルタイプを持っているのは、私ともうひとりだけで、他の大多数はアナログの機械。デジタルタイプは、あっという間に雪の中に埋没するビーコンを発見し、アナログとデジタルの差に驚いた。アナログタイプは、一発で方向を示せないのであった。この差は大きい。というか、アナログモードでは、捜索不可能と言っても過言ではなかった。

左から2番目にあるのが、iPhone。携帯電話を使い始めてから、山での緊急連絡手段として、なくてはならないものになったが、スマートフォンとして、登山アプリが開発されると、もはや、このアプリによるGPS情報で登山することが、主流になりつつある。

iPhoneの右にあるのは、ガーミンのGPS「eTrex32」。登山アプリ以前から、ガーミンのGPSを持ち歩いていて、私は、スマホの登山アプリよりもガーミンのマップを見ている。ディスプレイが小さくて、スマホのような見やすさはないが、低温の環境でスマホのバッテリー消費を少なくしたいと思うことから、単三電池タイプのeTrexは欠かせない。視界の利かない状況では、GPSは命綱である。

eTrexの右にある腕時計が、ガーミンのアウトドアウォッチにしてスマートウォッチの「instinct」。心拍計GPS内蔵。登山やサイクリングなど様々なモードでの計測を記録し、さらには、連動するスマホに着信したメールもこれで読む。本当に優れものの腕時計だ。ただし、冬期の場合、アウターウエアとグローブの間から腕時計を見るというのは、けっこう面倒で、私の場合は、アウターウエアの上からもバンドを回せるタイプのカシオプロトレックを20年以上愛用していたのだが、腕の心拍を読んで記録するという機能を捨てがたく、時間を見るのに一手間かけるようになった。

これに、地図とコンパス、という、古典的な「非電子機器」も持ち歩く。

ちなみに、3月5日の大賑わいの安達太良山山頂直下で、ビーコンを捜索モードにしてみたが、無反応だった。少なくとも、私の周囲30mぐらいの範囲にいた数十人の登山者で、ビーコンを携行してスイッチをオンにしている人はいなかった。同じようなことを、他の山でもやるが、よく行く会津駒とか鳥海山では、反応がある。

安達太良山は、ビーコンいらない、という意味ではない。気象状況とルートにもよるのだろうけど、私がよく入る、誰もいない箕輪山東面では、ビーコン必携かと思う。