楽山舎通信

わたじん8の日記です

2023.05.20 4年ぶりにブルベ参加 BRM520宮城300鳥海

 

2019年以来のブルベ(自転車のロングライドイベント)エントリー。

まずは300キロから。300キロ。過去のイメージから、300キロは「軽い」イメージで、久々のロングライドの足慣らしにはちょうど良いか、なんて甘い考えで臨んだためか、400キロの時と同じようなダメージを食らってしまった。

そもそも、この4年間のブランクというのが、自分が思っていたよりもかなり大きな出来事で、しかも、この間に還暦を迎えて、母親を失った。自分をとりまく環境が変わったのだった。

ちなみに日本のブルベ、2020年は開催自粛が続いたものの、2021年からは変則的な参加方式を取りつつ、割と普通に続いていた(と思われる)。私は家庭の事情もあり自転車乗りは自粛だった。

コロナ禍空けの2023年、ランドヌール宮城は、新コースで「鳥海山」の300と600をリリース。これに「鳥海高原」の400を加えて、「鳥海まつり」とでも言いたくなるようなコースアレンジだ。一つ前のブログで書いたように、「鳥海山」は、私にとって特別な思い入れのある山でもあり、このコースレイアウトでモチベーションが高まり、締切の日にエントリーした。

久しぶりのブルベで、準備に手間取った。鳥海山ブルーラインの下りでの寒さ対策を主眼として、防寒具をサドルバッグに入れると、300キロとは思えない量の荷物になってしまった。途中でリタイアすることも想定し、輪行バッグと予備のアンダーウエアも持参した。個人的なメモとして、ペダルがSPD-SLで出走する初のBRM。そもそも、MTB乗りだったので、ロードバイクのペダルもSPDで乗り始めたのだが(新たにシューズ買うこと無い)、2021年にヒルクライムレースにエントリーしたのを機会にロード用のペダルとシューズを導入した。ペダルの着脱が多く(信号などの一時停止)、「歩き」も想定されるブルベの場合は、SLじゃない方が有効というのは、今回の結果からも言えるのだが、ペダル回している時のパワーのかかり方では、やはりSLの方が有効であり、600以上の距離だと、ちょっと悩みそう。ペダル外す時に必要とする力に、かなり大きな違いがあるので。

久しぶりのブリーフィングで、集まった参加者見ながら緊張。走れるかな。

ほとんどの人がスタートしてから、ゆるゆるとマイペースでスタート。とにかく完走狙いで、人のペースに惑わされないように走ることにした。コースは、コマ図も少なくわかりやすい。最初は鬼首を抜けて国道108号で由利本荘の矢島まで。クルマで何度も走っている道で、交通量も少なめでほぼフラット(後に比べれば)で走りやすい。朝早い段階では、ポチポチと雨粒が落ちてくることもあったが、秋田に入ってからは青空も見えだしてきて気温も上がってきた。

道の駅「鳥海郷」でトイレ休憩。PC1のローソンはすぐそこだけど、基本的にコンビニのトイレは使わない個人的方針なので。ブルベって、PCにしているコンビニにとっては、どうなんだろう。基本的には、どこも好意的ではあるけれど、同じ時間帯に、大勢の参加者が一つのコンビニに押し寄せる様子ってのは、客観的に見ても違和感を禁じえない。まあ、人がたまるのは最初のPC1くらいで、あとはバラけてしまうので問題ないけど。

メインイベントの、鳥海ブルーライン登りの前に、グリーンラインの微妙な上り下りが、地味に消耗戦になっていたが、個人的に好きなエリアなので、気分的には晴れ晴れと走れた。山が雲に隠れていて、写真1枚2枚しかないが。

そして、問題のブルーライン。結論から言えば、私はこの間の補給で大失敗し、たぶん、ほぼ「ハンガーノック」状態で無理やりペダルを回していた、という言い方になる。走りながらゼリーでエネルギー補給していくのは、私の胃腸にとってはけっこうなダメージだったのか。結局、ここでのゼリーが胃のムカつきの原因となって、ここから先、胃が水以外を一切受け付けなくなってしまった。残りの150キロを、ほぼ水だけで走ることになった。補給食に持っていた菓子パンさえも食べられずに、家まで持ち帰ったのだった。何をどう腹の中に入れていくか、これが私にとっての今後の課題だな。

ガーミンエッジに入れているマップは、今回のコースの中で14のクライムポイントを示していて、ブルーラインのポイントが10番目で断トツの獲得標高。残り960m、くらいから始まって、残り200mを切ってからが辛かった。ある時点で、ギヤが2枚くらい重くなったように感じたのは、私の感覚で言えばハンガーノックで、尚且つ「脳」にも十分に血液が回らなくなっている感じで、「この状態で無理するとぶっ倒れるのか」と自覚しつつ、意識的な呼吸管理と倒れないだけの最低のペダリングで、「止まらない」ことだけを意識して登りきった。簡単そうに思えて、個人的には壮絶だった。

フォトチェックの大平山荘は、登り切ってからかなり下った先にあり、途中で身体が冷え始めて、何か着るか迷いつつ結局そのままで山荘まで下った。

ここで、横になって寝たいぐらいの気分だったが、夕方に近づくと気温が一気に下がることが心配で、ゴア雨具を着て下りに入った。が、ほどなく身体の冷えに耐えきれなくなり、パタゴニアのナノパフ投入。SSジャージでそのまま下っていく人もいて、身体の冷えを感じるのは、「高齢化」のひとつの現象なのかと、実感。「SSジャージで、そのスピードで下って寒くないのか?」と心底思ったのだが。

登りの時間を考えると「あっという間に」吹浦海岸まで降りて、日差しもあって一気に暑くなった。ここで睡魔に耐えきれなくなり、吹浦駅前の「こんなところで横になるな」的な場所で、たぶん小一時間寝ていた。眠気が消えてスッキリした。

寝ている間に、でもないが、鳥海山がスッキリと姿を現して来て、吹浦から遊佐町の市街地までの間に自転車止めて写真撮影を何度か。山見ると気合入ってくるオレって、高校の頃から変わらんなと思い、そういえば、吹浦あたりからの鳥海山は、高校の時に自宅から自転車で東北一周した時に見た、一番感動した風景だった。あの時、青森から本庄までの間は、雪とみぞれで悲惨だったが、晴れ渡る鳥海山見てやる気出てきたのだった。

この時点で午後5時を回っていて、あとは淡々と消耗戦。まさか、300キロで自分の身体がこんなに消耗するとは、思っていなかったが。気分的には一番きつい400キロの感じ。これが「加齢」というものか。

遊佐から真室川までの40キロの「1キロ」が、実に長かった。交通量の少ない山道で、いい感じの走りだったのだけど。

真室川のPC2に、4人くらい参加者がいただろうか。おにぎりやサンドイッチを買ったが食べられず、ザックの中へ。カップのフルーツゼリーなら食べられる。若干持ち直してきた感じか。まあ、残り60キロほどなので、それでなんとかなるだろうと、楽観視。

新庄抜けて13号から47号に曲がり、若干登りはあっても、もはや惰性でペダル回して最後まで。なんとか18時間台(ほぼ19時間)でゴールした。

4年ぶりのブルベで、「300キロ」を少し舐めていたなと、反省。完走後の気分は、かぎりなく「400」。

「624の600」を念頭に置きながら、今の自分がどんな感じかを探ってみたのだが、まあ、行けるといえば行けるし、「無理しないでやめろ」と言われれば、そうかもしれない。けっこうなボーダーラインの線上にあることは、間違いない。

が、還暦を越えてきて、自分を押し上げる気持ちがないと、間空けての復帰はさらに難しくなるので、「挑戦し続ける」ことは大事なのかなというのが、今の気持ち。

肉体と精神という、二人の自分がいると思う時があって、私の場合は、精神力がけっこう強くて、たぶん「ぶっ倒れるまでやる」タイプ。ということを、冷静に自覚して、「脳に血液回ってないよ、細胞死ぬよ」というあたりで、ちゃんと身体と精神をコントロールできる状態を、維持したいのである。たぶん、私にとって、「ブルベ」というスポーツは、「身体に悪影響を与えます」的なリスクが高い。

リスクが高い。

からこそ、面白い。のである。

リスクのない人生の、何が楽しいんだ?

 

 

鳴子ダム 序盤は天気悪い

岩井堂洞窟 院内 天気良くなってきて衣替え停車

道の駅 鳥海

鳥海グリーンライン

大平山荘フォトチェック ブルーライン登ってヘロヘロ

吹浦に下って遊佐

ガーミンログ