楽山舎通信

わたじん8の日記です

2025年2月1日 箕輪山東面BC

2025シーズン。猪苗代町が記録的大雪で、8年ぶりに1m超え。

ということは、安達太良連峰の箕輪や鉄山あたりも、それ以上に記録的な積雪になっている。という捉え方で良いだろう。実際、私が1月からこの山域に入山して見ている限りにおいて、こんなに積もっているのは、何年ぶりか、という印象が強い。

20年以上前から、積雪期に独自にルートを探しながら楽しんでいる箕輪山の東側は、ヤブが見えていてブッシュもひどく、ここでスキーするのも、もう終わりかな、なんてここ数年思っていたが、全く違う山に見えるほどに、深い雪に覆われていて、オオシラビソの雪に埋まる枝のラインが、今年は埋まっている。なにしろ、今まではうっとおしく出ていたブッシュが雪に隠れていて、滑りやすい。

2025は、途中で変な雨が降ったりしなければ、ビッグシーズンになる予感。

登山開始時刻が午前10時。ちなみに、1月19日の山日和日曜日は、午前11時55分登山開始で安達太良山登頂の山スキーだった。早出早着が常識の登山ではあるが、天候の読み次第では、必ずしも早出が正解とも限らない。

ただし、箕輪山の東から北面という、「こんな場所で遊んでいるのはオレくらいか」だった場所が、今年の場合は、日曜日に遅く行くと、クルマ止められなくて入山諦める、という状態になっているので、早く出かけて駐車スペースを確保しなければならない。これは、箕輪スキー場の今季閉鎖が影響しているのだろうか。それとも、積雪量が多ければ、このフィールドは近くて楽しい、ということを知っているレアな人たちが、集まっているのだろうか。真相は謎だ。

まあ、たしかに雪質は良いし、ブナ林の中のツリーランも楽しいのだけど、いかんせん、山が「浅い」。登って滑ってが、4時間あれば余裕で完了する。

今回の場合は、上り2時間半、滑り30分であった。まあでも、移動時間に往復7時間ぐらいかけて南会津まで行くか、その移動時間を別の要件に使うか、という選択の中では、移動時間往復1時間で「あり」な場所である。安達太良や迷い沢などの、確実に人がいそうなエリアでもなく、他人のトレースをみることもなく、このあたりを動いているのは自分だけ、の世界である。

ちなみに、この日は自分のクルマの他に、分散した駐車帯に合計6台のクルマがあったが、おそらく全てが鬼面山よりの斜面に入り、そちらから稜線を目指したのだろうか。あるいは、ハイクアップとパウダー滑降の繰り返しなのだろうか。自分がいつも使うルートにトレースはなかった。

入山ポイントの標高は1110m。10時8分。ブナ林の中の、風に当たらない深雪が、笑っちゃうくらいに新鮮で深い。これなら、ハイクアップでここだけ何度も滑るのもアリだなと思ってしまう。積雪量の多さゆえか、ブッシュも小さな沢形状も消えていて、思い通りにルートが選べる。ここに入って長年、もっと東寄りのカラマツの植林地を目印に入山していが、道路際から段差のないブナ林を覚えてしまうと、こちらが定番。地形的には、西鴉川源頭の谷にそって、南西よりに直登していけば最短であるが、入ってみれば分かる通りに、最後の「壁」から上に出るのは、還暦超えのソロには無理で、比較的傾斜のゆるい東側までトラバース気味に上がっていく。

目標となるランドマークもなく、小さな沢形状を何度も超えるので、無駄のない上りのためのルートファインディングは、けっこう難しいが、不思議なもので、だいたいいい感じのルートが「見えてくる」。するとそれは、大概獣道であったりする。ウサギとカモシカの跡を追うわけでもないが、なぜか獣の足跡を追うことが多くなる。

ところどころに母樹と言いたくなるような太いブナの点在する、割りと林齢の若そうなブナの純林を上り詰めると、ダケカンバ主体の台地上に上がる。そこからのブナ林は、より林齢の高い、おそらくは手つかずの森なのだろうか。一旦台地上の傾斜のゆるい場所を超えると、それまでとはワンランク別の上りになり、キックターンできる場所を考えながら登らないと、深雪の中でのキックターンに往生することになる。キックするための両ストックでの支点を作るのが、なかなかに困難で、キックする後ろ足を雪の中から上げるのも困難になる。しかし、新雪の下にクラストした斜面が隠れているのよりはマシだ。断層があると、切った時点で足元の雪が流れていく。

急斜面に入って深雪にもがいているうちに、なんか板がずれるなあと思っていたら、左の板に貼っているシールの後ろの留め具が外れて、かかとの後ろぐらいまで剥がれていた。シールのグルー面に着いてしまった雪を取り除き、接着力を回復させようと努力しても、まあ無理。ストラップの張力をキツめにして、接着力はなくても外れなければなんとかなる状態にセッティング。同時にスキーアイゼンを装着。

なんでそんなにきれいに林相が変わるのか、と思うほどに、ブナ帯からオオシラビソの針葉樹帯に変わるポイントが、最後の詰めで、無理せず東寄りに斜登行して登りあげる。

オシラビソの森は、西側と違いモンスターにはならない。しかし、今まで見たことがないくらい、枝が雪の下に潜り込んでいて、見える景色が違う。青空は見えないが、風も穏やかで、休むことなく登り続ける。残念ながら箕輪の山頂方面は見えない。

台地上の境目に伸びるオオシラビソ林と、灌木帯の間を基準として、西向きにしばらくは緩い登りがつづく。そして、標高1550mあたりで一気に森林限界が来て、さあ、そこからが問題だ。

地形図にある崖マークのボウル状の斜面から、目印になりそうな樹木はなくなり、真っ白な状態。「さあ、どうしようか」と悩みつつ、とりあえず見えるポイントまでは登ってみるか、と、北寄りにトラバースしながら登り続ける。足元の雪面の斜度が、どんな塩梅なのかを、ストックで探りながら進む。ホワイトアウトではないが、足元も空も真っ白で輪郭が見えない上に、ふわふわとした感触の中を進んでいると、「酔ってくる」。バランス感覚が狂い出す。

この場所に何度も通っている経験上、上を目指すか諦めるかのポイントはここで、前回もここで引き換えした。登頂の確率は、たぶん3割以下だ。森林限界の上下では、雪質も変わり、基本的に強風でパックされるかシュカブラになってしまう森林限界から上では、厳冬期に「パウダーラン」は無い。上部で快適な滑りが楽しめるのは、私の経験上では3月に入ってからだ。もちろん、気象条件で全てが変わるので、最適期は変動する。

12時21分。結局、目印となる灌木類がなくなってしまった1652mで、風避けもないため登るのをやめることにした。標高差10mぐらいで、視界が全然変わる。そのボーダーラインが、そこだった。シュカブラがなく、雪面はフラット。さっさと滑降モードに切り替えて、滑り出す。休んでる場合でもなく。

風で飛ばされて、表面の柔らかい雪はなく、かといってバーンでもなく、快適な滑降には程遠いが、スピードはでる。あっという間に、オオシラビソからブナ林の急斜面への切り替えポイントまで滑ってしまう。北向きのブナ林の中が、このルートの滑りどころで、美味しい雪がたっぷりあって、自分以外のトレースもシュプールもない。

何しろ、低木が埋まっているので、滑りやすい。ブナ林ブナ林とつないで、これまたあっという間に入山ポイントまで降りてしまった。13時ちょうど。10時に入山なのでちょうど3時間。物足りないといえば物足りないが、休日の残りの時間を別のことに使える、と割り切る。

そういえば、今年に入ってから、「一日一万歩」をクリアしてきて、バックカントリーみたいなスポーツで、山登ってるんだから歩数なんか十分クリアしてるだろ、というのが大きな間違いで、この時点で4200歩。登山開始時点が1600歩ほどなので、2600歩しかカウントしていないことになる。体感からすると、それはありえない。下りは歩数カウントしないにしても、少なく見ても5000歩は歩いている。急斜面の登りなんか、負荷が強いわりには、一歩の歩幅は、40センチ以下だったりする。その繰り返しが登山だ。

今使っている腕時計は、ガーミンのinstinct2 で、スポーツのモードごとに細かく切り替えできるのだが、バックカントリースキーモードでは、登りのステップ数を全くカウントしないことをしり、登山モードでバックカントリーしてる場合にも、これはGPSの距離から歩数をカウントするのだろうか、どうも正確な歩数との間に大きなギャップが生じている。

まあ、何が言いたいかといえば、割りとハードなアクティビティを終了したあとで、1万歩に足りない残りの6000歩を、ウォーキングなどによってカウントさせないといけないということだ。かつて、こんなことはなかった。登山にしろサイクリングにしろ、終わったら温泉入ってあとはのんびりとか、次の日のしごとの段取りするかとか、そんな感じで、一万歩の不足分をカバーするために、1時間のウォーキングをする、とか、ありえないのであった。

結局この日は、スカイピアあだたらの、浅い雪に埋まってる「サイクリングロード」を4キロ歩いた。このため、というわけでもないが、ミドルカットのトレッキングシューズは持ち歩いている。長靴では歩きたくない。まあ、クールダウンと割り切れば、負荷の大きいスポーツのあとの一時間ウォーキングもわるくない。たかが一時間だ。ぼーっとしていてもスマホ見てても、一時間なんかあっという間に過ぎる。

とりあえず締め、の温泉は、スカイピアではなくて、「奥岳の湯」まで上がる。

スカイピアの「空の湯」はジジ臭く、奥岳の湯は、場所柄スポーツマンが多い。気分は全く違う。恐ろしく違う。還暦過ぎの見た目ジジイでも、「ジジ臭い」中に埋没したくはなく、寒い中でも雪山見ながら露天風呂に入っている「スポーツやってるっぽいオッサン」ぐらいの位置づけでいたいのである。スポーツしないで温泉入るのも、NGである。ちなみに、コロナ禍では、BCスキーやサイクリングのあとで温泉入る習慣が消え、自宅の風呂がデフォルトだった。

箕輪の東面は、今シーズン2度目で、2度目の敗退。登頂できていない。まあ、東側からなだらかな頂稜を西側の端まで行くの、案外つらいのだけど。ちなみに最高点の1728ポイントは、山頂マークの道標のある場所ではなく、「ここ」というポイントはわからない。GPSでみて、「だいたいこの辺」ぐらいの感覚。だからこそ、ランドマークの薄いこの雪山の視界不良は怖いのである。

オシラビソの台地状

一番上で撮った一枚

西鴉川源頭から見る箕輪

グーグルアース軌跡

ガーミンデータ

 

2025年1月 月間のステップが過去最高に

久しぶりのブログ更新。

話題がこれ。「ステップ数」

日常の出来事は、ついついフェイスブックに書き込んで終わりにしてしまい、ブログもノートも放置状態だった。2025年は、年明けからいろいろと変化がおきているので、インスタとFB中心のアウトプットを、ブログ中心に見直していく。まあ、10人ぐらいしか読まないと思うが、アウトプットは、誰かのためというよりも、自分の日記を公開しているようなもので、記録していくことが、やはり重要。

2025年1月1日から、一日一万歩をクリアしてきたが、過去最長の27日を抜いて、本日1月31日で、31日間となり、ひと月の歩数カウントは、過去に比べて頭2つくらい飛び抜けた感じになった。

実は、2024年の11月12月は、体調が最悪だった。11月初旬にひどい咳が始まり、それがなかなか治らずに12月まで持ち込んでしまった。咳止めやら風邪薬やら胃腸薬なんかを、けっこう飲み続けながら仕事していた。

それと比較するまでもなく、1月は、これ以上のコンディションはない、というぐらいの健康体になってしまった。

仕事で歩数カウントしているから大丈夫、というのは去年までの自分の気持ちだったが、仕事の歩数プラス、3千から4千、というウォーキングで一万歩クリアを継続することで、身体の状態が改善された、と見てよいのだろう。なおかつ、今月は登山3回。今シーズンの雪の降り方は、バックカントリーファンにとってはベストである。雪国暮らしにとっては、最悪かもしれないが。温暖化傾向の地球にあって、「変動」によっては、必ずしも暖冬ばかりではない、ということが、証明されている形だ。シベリア寒気団の流れに異変が起きている、という見方もできる。それで北極圏の氷が融けてしまうと、何億人の生活に影響がでるかわからないし、絶滅種が何種類になるのかもわからないし、温暖化によって起きることが、「持続可能型」じゃないことは確かだろう。

まあでも、もはや戻れないところまで来てしまっているので、温暖化は止められない。

話が逸れた。

「一日一万歩」がタスクというかノルマになってしまうと、これが一日を引っ張っていくことになる。

ステップ数をカウントしているのは、ガーミンのinstinct2という、腕時計である。超多機能。スマートウォッチというよりも、アウトドア・スポーツに焦点を当てているので、ログ取りもそれぞれのスポーツモードによってより詳細なデータが得られる。

と、ここで一つの問題を発見した。

バックカントリースキーの際につかうモードが、「歩数」をカウントしないことを発見した。このモードには、ハイクアップと滑降というカテゴリーがあり、活動ごとに切り替える感じなのだが、たぶん5千歩以上は登ってるはずのステップが、BCスキーモード発動中の時にはカウントされなかった。

ということで、このモードは二度と使わないことになりそう。歩数をカウントする、登山モードで記録するしかない。滑降のスピードなんか記録してもしょうがないので。

明日から2月。とりあえず、一万歩は継続するか。

ステップ数 月別1年間

 

街角ピアノ スペシャル 「ハラミちゃん ロンドンを行く」見た感想

www.nhk.jp

 

昨日54日の再放送を見た。

街角ピアノのスペシャルは、角野隼斗さんのニューヨーク編があまりにも凄すぎて、というのは言い訳にはならないが、326日に放送されたらしい本放送は見逃していた。しかも、このWEBサイトの情報も見ずに、「テレビつけたらハラミちゃん」だったぐらいの感じである。

 

ピアノ好きなので、もちろん「ハラミちゃん」の存在はしばらく前から知っている。

2022年の911日、NHKホールでヴェルディ・レクイエムを聞くために上京したのだが、その時ぶらぶらと立ち寄った東京国際フォーラムでは、ハラミちゃんの公演があったのだ。なんとホールA5000人)で2セット。国際フォーラムホールA2セットやれちゃう人気があるのかと、その時驚いたのだった。ユーチューバーというくくりでは語りきれない才能があるのか。実に楽しそうに、かつ軽やかにピアノで歌う、という印象が強い。

 

NHKBSの「街角ピアノ」は好きな番組で、普段も15分編成の番組をけっこう見ている。「素人がストリートピアノをひく」というだけでは、語り尽くせぬエピソードが織り込まれ、「オレもピアノひけるようになりたい」と思ってしまうのである。実に多様な職種の人が、ちゃんと演奏しているのを見ると、自分がけっこう情けなくなる。

 

それはさておき、この番組を見たことを、スルーせずに書き留めようと思ったのは、番組の最後に登場してきたジェイコブ・コリアーが衝撃的すぎたからである。

 

ジェイコブ・コリアー 29歳。

 

私がジェイコブ・コリアーに始めて衝撃を受けたのは、なんとNHKFMの「ビバ!合唱」での紹介だった。多重録音で、歌だけではなく楽器も自分で演奏する。

 

「うわ、世の中にはすげえやつがいる。これぞまさしく天才」

 

「まさしく天才」

それで間違いないでしょう。

 

この番組に登場した彼を見ていて、「なるほど天才」以外の言葉が浮かばないわけで、短時間(30分)のハラミちゃんとの「インタビュー」で、あそこまでパフォーマンスができてしまうのは、驚きでしかない。彼の反応、目と身体の動きを見ていて、その反応の速さ、考えるよりも先に音が出てくる? 一回聞いただけでハラミちゃん作曲の曲のフレーズを入れ込んで即興してしまう能力。

んん~ ほんとに天才。

 

そして、このめぐり合わせが、ハラミちゃんのこれからに、どう影響していくのだろうかと、そこも楽しみになってきた。

 

プロのピアニストになりたくて、といいつつ一度普通に就職し、メンタル的などん底状態経験して、そこから立ち上がってのこの位置。

 

街角ピアノ見ていても、「ピアノが私の人生を支えてきた」というタイプの無名のピアノ弾きは多く、必ずしも「天才の道」ではない「どん底からの再開」的なピアニストが紡ぎ出してくる音は、たぶんその人にしか生み出せないヒューマニティに満ちたものになる、という気がしている。