楽山舎通信

わたじん8の日記です

地球温暖化は、もちろんすでに始まっている 2020/1/2

安達太良連峰の中でも、個人的には箕輪山が好きである。

箕輪スキー場のある、あの山である。この山の東側、あるいは北東側の斜面というのは、下から見ていて、どう見ても山スキー向きだろうと思うわけだ。(そこ?)

北東側というのは、東鴉川の源頭部の斜面になる。ここを滑るのは、エクストリームの部類で、自分は滑ったことがない。鬼面山側に降りていった、林際をエントリーポイントにすれば、まあ滑れる気はするが、それはちょっとあの沢の雄大さからすると、辺縁部で核心ではないし。

それよりも、と言っては何だけど、東に見える大斜面から、大雑把にいうと国道115号までのラインが、やはり自分は好きであり、納得できるコースを確定するまでに、ずいぶんここに通った。(登山道などもちろんなくルートもない)
BCスキーエリアとしては、安達太良連峰の中では鉄山西尾根というのが、抜群の人気を誇る場所で、それに異論はないが、箕輪東面も、ルートファインディングが難しいという点を含めて、何度も足を運ぶだけの価値があるのである。

この場所は、奥羽山系の太平洋側に於いては、おそらくオオシラビソ(モンスターを形成するあの針葉樹)の南限なのであり、ブナ帯から登ると、ダケカンバ林を抜けて亜高山帯特有のシラビソの森にたどり着き、やがて森林限界に抜けると、風雪に覆われたハイマツ群が、荒々しい姿を見せるというドラマチックな植生の展開が、わずかな距離の間で実感できる。少なくとも安達太良において、こんな場所はここしかない。そのことに気づいている人は、これまた一握りしかいないだろう。

地球の平均気温は上昇しているのか、という質問の答えは、常識としてイエスなのである。大きな流れでは、氷河期へ向かうとされる地球にあって、人類の繁栄が生み出す環境の変化は、とりあえずは気温上昇という、わかりやすい数値となって現れている。

ぐぐると最初に出てくる「全国地球温暖化防止活動推進センター」のホームページによれば、1880から2012の132年間に、地球の平均気温は0.85℃上昇したとある。日本も、すでに1度上昇している。

1月2日、先に書いた箕輪の東面に入ってみた。

登山口につくまでの景色が、1月初旬とは思えない雪の少なさで、それでも、あそこには雪があるだろうと思って行ったのだが、まあほんとに、惨憺たる状況で、まるで11月の山をみているような光景だった。それでも、かろうじて張り付いている薄い雪の上をスキーで歩き、雪の下に隠れるまでには、あと1mの雪はほしいというブッシュをかき分け、「絶対埋まってる」と思えた吹き溜まりの沢が見えるポイントまで上がってみたが、遠景で写真をとれば、真っ黒にしか見えない光景だった。

1月2日のその光景を見ながら、パタゴニアのカタログが商品を売るための冊子であることをやめて、環境問題を啓発するための冊子、しかもかなり本気で、若手環境活動家の怒りの表情を上げてくるような冊子になったことの意味を理解した。もう、自社のイメージ高めるためのパフォーマンスではなく、自然を愛する企業としての、この時代の責任として、「モノを売ることよりも大事なこと」を訴え始めたのだ。

すると、多少というか、かなり高い買い物になっても、意識的な消費者は、パタゴニアの製品を選ぶようになっていく。この流れは、おそらく日本のモンベルなどを始めとしたアウトドア製品の企業にも影響を与える。というか、そうなって世の中が変わらないと、人類が生き残れるにしても、災害そのものが、富裕層と貧困層の二極化に拍車をかけていくかもしれない。

福島民報の元旦朝刊に、福島県知事と、県内の市町村長すべての年頭挨拶が乗っていた。真っ先に見るのは、二本松市長のコメントだったが、正直「ダメだな、このヒト」。「二本松には夢がある。希望がある。明るい未来がある。」

いや、その具体的な中身を提示してこそのあいさつで、「明るい未来」なんて呑気な言葉を使っていられる時代では、もうない。50年100年先とか言いながら、時代感覚がズレている。

この年頭あいさつ特集の中で、私の目を惹いたのは、品川郡山市長のコメントだった。

昨年、郡山市で最大の出来事は、台風19号の水害である。市長はその出来事から、地球環境問題への取り組みを語る。取り組みとは、「SDGs未来都市選定」である。

挨拶文のタイトルは「気候変動対応型都市を目指して」。郡山市にとっては、台風19号による浸水被害が、いかに深刻なものだったかということを、まさに肝に銘じる一年の計になっている。

福島県全体としては、震災から10年、復興期間の最終年としての位置づけは、被災自治体の予算の中でも大きなものとなっているが、「これからさき」を考えると、もはや「復興」ではなく、「50年に一度」の災害が、あるいは毎年発生してもおかしくない、あるいは今までに経験したことのない災害に対する対応力を備えていくのが、これから10年の行政の使命かもしれない。

 

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1月初旬に、これはない。箕輪山中

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野地温泉の下辺りの道路。