楽山舎通信

わたじん8の日記です

2022年3月16日23時36分の福島県沖地震あたりの近況

春のお彼岸です。

昨年、令和3年の8月14日に亡くなった私の母の、初彼岸です。昨年の秋は、四十九日の前だったので、この春が初彼岸ということになります。

このタイミングで、建築の仕事で関わっている二本松の現場が完成に近づき、次の現場の南相馬で、新築物件の土台入れから組み上げを行う段取りが、今週の予定でした。

一つ前のブログで触れたように、11年目の3月11日、私は南相馬の新しい現場に向かい、その現場からも見られる太平洋の水際まで行って、安泰な世の中を祈ってきたばかりでした。

そして、その新しい現場で土台を入れたその夜に、今回の震度6強地震。深夜で深い眠りの中を襲われました。その揺れは、昨年2月13日23時7分の地震よりも、大きく感じられました。寝起きで咄嗟に立ち上がったこともあり、ぐるぐる回っている感じがあり、それは、2011年の大震災の時に、新築中の自宅の2階に居た時の激しい揺れを思い出させる強いものでした。あの時と同じように、今回も家が潰れるのではないかと思い、1階に降りて、すぐに外に出る体制にしました。昨年の地震の時は、ここまでではなかったし、四方八方の棚に、雑然と積み上げられたものの落下も、昨年と今年では大違いでした。まあ、棚にあるモノの状況も、昨年と今年では違うわけですが。

昨年の地震では、すぐに母親の寝ている1階の部屋に行って、声を掛けましたが、今年はこの家に一人。一人暮らしってのは、こういう時にけっこう辛いものがあるなと、再認識。気楽といえば気楽ではあるけれども、やはり、ソロの登山と同じで、すべてを自分の判断で乗り越えていかなければならないというのは、自分自身を鼓舞する折れないメンタルが、もっとも大事なのだと実感しました。

翌日は、南相馬で新築物件の組み上げ作業。

「家を建てる」の文字通り「建てる」作業、土台の上に柱を建てて、そこに梁を組み上げ、屋根を支える母屋と棟木を上げる作業は、新築工事の一連の作業の中で、もっともエネルギーを使い、神経を使う仕事です。棟梁という立場において、ですが。

南相馬の現場なので、果たして予定通りに建て方ができるのかどうか不安でしたが、風もなく最高の天気の中で、まるで何事もなかったかのように、スムーズに上棟が終わりました。みんな寝不足で精神的にも大変な中でしたが、無事に上棟までこなすのは、経験の豊富なプロ集団だからこそ、なんでしょうか。

私は、地震と同時に風邪気味で、というか、頭痛がひどく、帰宅するなり寝込みました。ガチャガチャの自分の部屋は、今も手がつけられない状態。

昨日は、天気悪くなるのがわかっていたとはいえ、朝からミゾレ。前日の暖かだった春の気配は夢のような、寒いお天気。風邪薬とドリンク剤を補給して、職人と私の2人でなんとか野地板を貼り終えて、ブルーシートをかぶせてきました。これで一段落。お彼岸に入れます。

今日は、完成の近づいた二本松の物件で、床を養生していた「養生板」を剥がし、プロのクリーニングが始まる前の片付け作業。これはこれで、傷探しと補修などで、それなりに気を使う作業。体調は全快となり、この仕事を片付けてから、お彼岸となります。

そういえば、我が家のお墓には、ひときわ高い五重塔が立っていて、これは、2011年の震災の時に塔のてっぺんにある法輪が崩れ落ち、補修した法輪は、昨年2月13日の地震でまた崩れ、今度は芯棒を入れて落ちないようにしたのでしたが、法輪の一番上が割れて落ちてしまいました。その上、昨年はなかった「ズレ」も発生。

我が家の墓がある墓地では、廻りを見渡しても被害はなさそうなので、目立つ被害は、我が家の五重塔だけかもと思った時に、これは、そろそろ五重塔自体を解体すべきなのかなと思いました。これは、祖父の代のものなので、45年くらいのモノですが、クルマの通る道路のそばでもあり、自分が死んだ先のことを考えると、いずれは解体ということになるでしょう。

それにしても、容赦なく「怯え」を生み出す大きな災害は、人の精神にダメージを与えます。

私は、まさにこの時、パンデミックの世の中で、ロシアの侵攻でウクライナが散々な目にあっている現実の中で、震災続きの福島の中で、「乗り越える力」「精神力」の重要性を再認識します。

「乗り越える」精神力、結局のところは、自分の中から自分が生み出す以外には方法がありません。

それどころか、自分が生み出す「乗り越える力」で、廻りの人たちや時代そのものにも、そのパワーを伝えるぐらいの「強い自分」であることで、人生のすべてがポジティブなものとなり、幸福な人生になり、そのことで、幸福な社会を築き上げる一員になれると思います。

てなわけで、気力充実して、まずは今日のお仕事、完成に向かう新築住宅の、「養生撤去からの床板チェック」に行ってきます。

ああ、その前に、雪かき。