楽山舎通信

わたじん8の日記です

2023.6.24 2023.BRM624宮城600鳥海山 完走

2023.6.24 sunset@弁天岩

 

パンデミック開けの2023年は、2019年以来4年ぶりでブルベに復帰中。

5月の300キロ(宮城300鳥海山)に続き、6月は600キロ(宮城600鳥海山)に挑戦した。制限時間は40時間。

Randonneurs MIYAGI - 2023BRM624宮城600km・鳥海山600

 

この4年で、私自身を取り巻く環境は大きく変化した。昨年還暦となり、つまり今年は「60台として」自転車に乗っているわけで、登山にしても自転車にしても「追い込み」の期間に入ってきた。さあ、何歳まで行けるのか?

2019年は、BRM622宮城600龍飛崎 - 楽山舎通信 を完走し、9月の

Audax Kinki » BRM922花巻600km 悪路王 をPC4の八戸チェック後にリタイアした。リタイアの理由は「台風接近」。コースに台風が近づくということよりも、「自宅のある福島に接近することが心配になり」という感じで。結果的には、そのまま走行しても大丈夫だったのだが、八戸から先に走り出すと、エスケープが効かなくなるという理由から、慎重に判断した。悪路というか悪天候判断。身体のコンディション的には行けたな。

600は、私の場合は、途中で「寝る」ことを前提に走る。シュラフと着替え持参。荷物が多くなる。基本的には、1000キロも同じ装備。しかし、軽装の参加者が多くて大きめのザック背負っているのは私くらいだった。ザック背負うと、反射ベストと相性が悪いので、たしかに考えものではある。

コースは、前半の最初に白布峠があり、後半の最初に鳥海山ブルーラインがあるという、わかりやすいレイアウト。獲得標高6128m。長い登りで頑張らずに、平坦部分で稼ぐ、というのが私の描いた完走計画。

出走前日に、きちんと睡眠を取る、というのが大事なのはわかっていながら、5時スタートに合わせて時間を追っていくと、結局十分な睡眠時間が取れない。3時間、2時間という睡眠時間の連続で、実質36時間くらいは走り続けるのは、なかなかに身体に悪い。

ブルベの長距離は、「身体に悪影響を及ぼします」なのは間違いない。

米沢スタートは、地理的条件は良い。道の駅米沢で3時間45分睡眠。スタート地点の米沢総合公園に移動して出走準備。ぱらぱらと20人ぐらい(出走は25名)。

スタートして最初の「山」、白布峠に向かう。「西吾妻スカイバレー」を、米沢側から登るのは、3度目か4度目か。福島の桧原側からとは、全く違う登りだ。「険しい」。

走行する道路のすぐそのあたりから「アカショウビン」が「キュルルルル」と泣き続ける穏やかな朝で、車も滅多に走らず気持ちが良い。

白布温泉前の急勾配を越えてから本格的にスカイバレーに入る。サルの群れと「緑色の糞」がやたらと多く、注意深く路面を見て走る。前をはしる集団は、5名くらいだろうか、熊鈴を鳴らし、ほぼ喋りっぱなしで登っていく。喋っていても登れるくらいの運動強度に押さえておくのは、良い。とにかく、ここで頑張りすぎないことが肝心。

7時16分。白布峠ひろすけ文学碑のチェックポイント。霧が出ていて、下りはウインドブレーカー着用。福島県側に入ると、地元感満載の場所で、喜多方まで。

通過チェックC2のローソン喜多方清水台が9時。新潟に抜けるのに、49号ではなくて、交通量の少ない山周りの459号を使うのはブルベの定番。山都から西会津に抜けるこの山間の国道周囲の風景が、実に良い。ただし、上り下りがやたらと多いが。

10時39分、通過チェック3の飯豊連峰展望所。山は見えず。

阿賀野川沿いに下って津川で49号に合流。一気に車の流れが多くなるが、49号を流すのは楽でうれしい。

13時10分。「道の駅あがの」と隣のセブンで昼食タイム。参加者が5人くらいいてイートインで食事中。暑くなって来て日陰じゃないと厳しい感じ。アイスとコーラに手を出す。大盛りパスタ。

49号から国道290号に右折し、村上を目指す。この道路は見晴らしよくフラットで走りやすい。

15時15分、PC1の新発田着。スタートして10時間以上走り182キロ、貯金2時間。バラけてきて、前後に参加者が見えなくなった。7号線を少しだけ走り、坂町で113号に左折して海側に逃げる。やっと、日本海の見える位置まで来た。最初に見た日本海の写真を撮るか迷いつつスルーした。やはり、iPhoneの他にコンデジを携行すべきだった。なんでもいいから情報として写真で記録しておくことは、ブログ書きの記録として大事。この区間で、反対方向に走るブルベライダーがいて、疑問が膨らんだが、補給で寄ったコンビニで反対側から来たサイクリストと話し、それが群馬主催の新潟一周ブルベだと知った。

村上から345号で海沿いを走る。笹川流れ付近は、ブルベやドライブで何度も通っているので、馴染みの道と風景になったが、日没の瞬間にここにいるのは初めて。「笹川流れで夕日」という、ブリーフィングでも示されていた印象的な場面にドンピシャな時間帯に当たった。

正確には、笹川流れ少し手前の「弁天岩」の駐車場で、19時6分日没。太陽は「粟島」に沈んで行ったが、印象深い日没ショーとなった。しかし、日が沈むと一気に暗くなっていく。「涼しくなる」、という言い方もできる。

前後に4人くらいの参加者がいる感じで、海沿いを80キロ先の酒田に走る。日が沈んでしまうと、単調といえば単調だが、距離を稼げる区間。海と山を堪能するコースは、やはり良いな。勝木で7号線に合流し、しばらく7号を走るが、鶴岡に入り、7号から県道に左折するポイントに参加者が二人いて、私もそこでストップ。ガーミンのナビ頼りで走っているので、大きく右左折するポイントは落とさないが、走行する道路に並行しながら切り替える道路の場合は曲者で、しばらくしてからミスコースに気づくということがあるが、ここもそういうポイント。キューシートで距離確認して間違いなく7号からそれる。

他の参加者に着いて走るのも着かれて走るのも好きではないので、ほどよく距離を開ける。

酒田に近づいてから、市街地の明かりが見えるまでがだいぶ長かった。

22:55、PC2(セブンイレブン酒田東中の口町店)到着。貯金は3時間半になった。前後して3名ほどの参加者。

遊佐町の道の駅鳥海まで行って仮眠することにして、先へ急ぐ。交通量の減った深夜の7号線を1時間ほど走り、道の駅到着。ここと象潟は、なにかと利用回数の多い道の駅だ。3時間は寝れそうだったが、結局アラームの前に目覚めてしまい、装備チェックしたり着替えしている間に、ここにいた2名くらいがスタートしていった。3時をすぎるとぼんやりと空が白みだす。4時頃に道の駅をスタート。

このブルベのメインイベントとも言える「ブルーラインヒルクライム」の前に、象潟で通過チェック。ライト消しても走れるか、ぐらいの明るさになり交通量の少ない道を淡々と走る。

象潟の通過チェックには先行者が5名くらいはいて、時間的には最終クラスだったのだろうか。ということは、私がこの時点で最終ライダーということだったのか。

ブルーラインの本格的な登りが始まるまでに、ゆるゆる勾配の道がけっこう長く続き、これをゆっくりと進む。とにかく、この登りで体力使い果たすと、この先に使う足がなくなるので。

ひと月前に登ったばかりなので、細かい勾配やコーナーの記憶がけっこう鮮やかで、ペース配分は自分では完璧であった。登る前にきちんと補給し、登りながら腹に入れるのは水だけにした。

中程で先行者を二人追い抜いて、後半にヒルクライマーペースで登るスタッフに追い抜かれた。EDGE530のクライム表示の残り標高と距離が減っていくのを見ながら、ペース上げずに余力を残して完登。「登った」という証明に、やはり「鉾立」の写真が欲しくて少し寄り道。通過写真チェックの大平山荘は、かなり下ってからのことになるので、「山屋」的にも「鉾立」の写真は欲しかった。7時59分。

ここの自販機でコーラ買って飲み、10分くらい寝たら、1時間寝たかと思うほどにすごくスッキリした。下りは、上だけゴアテックス雨具着用。8時25分に、写真チェックの大平山荘着。写真撮ってさっさと下山開始。

9時に道の駅鳥海着。奥にある東屋のベンチで、余裕こいて40分の仮眠休憩。出発しようと思っているところに、キャンピング仕様のツーリストが到着し、しばし話し込む。宗谷岬まで一月かけて北上するそうな。いいなあ、そういうの。

残り時間計算すると、約200キロを11時間。よく考えると微妙な残り時間。この時点で、捨ててはいないが、おそらく最終走者であろうと思っていた。

一ヶ月前のBRM520で走っている道なので、ポイントは心得ているし、あの時よりもはるかに調子がいい。平地では30キロオーバーの巡航速度を無理なく保つ状態で走り続ける。このためのフロント52×36へのこだわり。まあ、意味わからんと思うけど。

平地から次第に真室川への峠の登りになり、その途中の橋の上に、一人の参加者が見えた。並走して声掛けしてみると、なんとAさんだった。スタートで姿が見えなかったので、DNSかと思っていたが、走っていた。久しぶりにお会いできて、話が途切れないまま、金山の通過チェックのファミマまで。

ここにはスタッフが待っていた。何かと思えば、次のPC3の制限時刻の計算が違っていたらしく、16:28ではなく16:24と、4分詰まっていた。この時点で、次のPCのクリアが関門だということはわかっていて、まあ、無理でしょう、という話で意見はまとまっていた。

PC2が322キロの酒田で、PC3は531キロの河北町。この間は通過チェックでしかも日をまたぐ時間帯でもあり、余裕こいて仮眠していると、PC3に間に合わなくなる。ギリギリの時間を使って走る組には、この間の時間管理がネックである。時刻は13時20分。3時間で約60キロ。フラットながらも信号峠が多い。「時間外完走で行きます」が、ここでのAさんとの共通認識だった。

それまで走ってきた道路から比較すると、明らかにフラットな国道13号。走り出すと、余裕で27から30キロ巡航ができる。最初Aさんが前を走っていて、どこぞやの信号で先頭を交代し、同じペースで走っているつもりが、結局そこで離れてしまい「この巡航速度が維持できれば間に合う」モードに入って、13号から347号線に入っても巡航速度は維持した。

PC3の、FM河北町西里店に着くと、一人いた。「あと7分」と声を掛けられた。なんとか間に合った。最初の制限時刻4時28分が、24分に4分短縮されたことがけっこう大きなストレスになったが、「ギリギリ」をなんとかクリアするのは、私の性格からするとよくあることで、まあ「諦めない」ことが大事ではある。一つ前の通過チェックでは捨てていた「認定」を取り戻した。ここにいた先行者は、鳥海山の登りで追い抜いてきた方で、このコースの設定者のSさんだと、後で知った。

やはり、PC2からPC3までの間の時間計算を、自分なりにキッチリ計り、休みすぎないことが肝だった。まあでも、結果的に借金ゼロまで戻せて、ゴールまで平坦ベースの70キロほどとなれば、この時点で時間内完走は確約できた。ここで余裕こいて20分休憩。いつの間にか灼熱地獄になっていて、日陰から出れない。

最上川沿いに、小さなアップダウンを繰り返しながら米沢まで上がるコースは、寒河江発着のブルベで何度か走っている。大きな峠がある訳でもないが、市街地の信号が意外とロスになる。途中、たぶん朝日町のあたりで先行者のSさんを追い抜いた。ブルベやっていると、「2つ目のスイッチ」の存在に行き着くことがあるが、一度終わったと思える自分の身体で、割と信じられない余力を引っ張り出してきて、パワーで漕いでいるという感じ。

そういえば、「ラファ」のレーパンを使うようになってから、ケツの痛みでサドルに座ってこげなくなる、ということがなくなった。2019年の1000キロをリタイアした最終的な理由は、「ケツの痛み」だった。気づけばそれがなくなった。

長井を抜けて、あと30キロというあたりからライト点灯。厳しい西日がなくなって、走りやすくなったが、米沢が思ったよりも遠かった。

市街地に入ってほどなく、ゴールの米沢総合公園到着。公園の道路沿いに設置されたゴールで、たくさんのスタッフに出迎えられた。感謝感激。39時間8分、まさかの復活ゴールであった。

ああ、ブルベは楽しい。

4年ぶりに600キロブルベに挑戦し、まさかの時間内完走認定を手に入れることができた。身体のダメージは、前回の300キロよりも少なかった。

 

2023BRM624宮城600 コースプロフィール

 

BRM624宮城600鳥海山

ガーミンログ前半

ガーミンログ 後半