楽山舎通信

わたじん8の日記です

2023.05.05 鳥海山BC

祓川から朝日浴びる鳥海山

 

二日前の白馬岳に続いて、お決まりの鳥海山バックカントリースキー

前日の4日、余裕をもって自宅を出発する予定だったのに、いろいろやっているうちに夜10時40分。白馬の反省を踏まえて、きちんと睡眠時間を確保するつもりだったのに、またしても寝る時間が無くなりそうだった。

鳥海に行くのも、白馬と同じく2019以来で4年ぶり。この間に、米沢から先の東北中央自動車道が新庄までつながった。グーグルのナビ表示で、4時間26分、257キロになる。

カーナビのHDDに入っている曲は聞き飽きた状態になっていて、ブルートゥース仕様じゃないふるいカーナビに、FMトランスミッターとBT経由でiPhoneつなぎランダム再生。そして、眠気覚ましの最後の手は、歌うたいながら走ること。気がついたら、声が枯れていた(笑)。

国道108号線に入り、鳥海町に入ってしばらくすると、月夜の夜空に、真っ白い鳥海山が浮かび上がってきた。それを見るなり睡魔がぶっ飛んだ。「覚醒」とは、まさしくこういう状態をいうのか。テンション爆上がりで、思わず歓声を上げる。国道108号線から猿倉方面の県道に曲がるポイントにある道の駅的な建物でクルマを止めて、写真撮影。月明かりの真下に浮かぶ鳥海山。この時間に走っていなければ、見れない景色だった。トイレが使えるこの場所は、いつもは仮眠場所にしていて、明るくなってから祓川の登山口まで上がるのが定番だったが、大げさに言えば、果てしない宇宙の広がりと、その中の小さな地球の中の小さな山に登りに行く人類との関係性みたいなものに気づいてしまい、祓川の駐車場まで上がることにした。月夜の鳥海山見ながらのドライブは、なかなかできない。

土砂崩れの影響で長らく迂回していた鳥海グリーンラインがつながっていて、真っ直ぐ花立まで行けるようになっていた。猿倉に回ったほうが早いが。

テンション上げ上げの状態で、祓川の駐車場に到着。ずいぶんと雪が少なくて、道路両脇に見えるはずの雪の壁がない。2週間分違う風景という感じだろうか。駐車場は満杯かと思いきや、そうでもなくて3割ぐらいの台数。クルマの中から鳥海山が見える場所を確保してエンジン停止。時刻は午前3時。明るい月が山の影に入り、星々の輝きが見えるようになってきた。今どきのスマホは素晴らしく、この光景を三脚もなしで簡単に撮影出来てしまう。はしゃぎまわる子供みたいになって、寒いの忘れてただただ鳥海山の夜景に酔いしれた。

5時のアラームで起きると、日の出前の雪景色が、興奮と感動を呼んだ夜景とは全く別の広がりを持って、飛び込んできた。一気に脳が動き出す。この覚醒と感動があるから登山はやめられない。

6時ちょうどに駐車場をスタート。祓川ヒュッテの前でスキーを履きスキーアイゼンも装着。雪のつながっているポイントを見ながら、左よりの進路で上がる。

同じ時間帯で、4パーティ10人くらいは前後にいた。山頂までくっきり見えている。天気予報は曇りだったが、視界の良いなかで往復できそうだった。

雪面はガチガチに固くて、スキーのトレースはわずかにしか見えないが、トラクションが効いて登りやすい。

七ツ釜避難小屋の上あたりまでで、前を登っていた二人連れパーティを2つ追い抜いて、前後に誰もいない状態。とにかく、止まらずに登る。過去の経験から、舎利坂は左よりに巻きながら登っていく感じにしないと、ガチガチの急斜面でスキーでは歯が立たなくなるリスクがあり、大きく左よりに登る人の姿はなかったが、大きく迂回。結局、舎利坂直登で先行していたスキーの2人パーティは登れなくなり、左よりに逃げてきた。斜面がフラットだとなんとかなるが、ボコボコだとスキーはつらい。

8時45分、七高山2230mまでスキーで登頂。ギリギリ雪がついていた。西からの風が若干ある程度だったが、ちょっと雲がでてきた。

写真撮影したら、さっさと山頂から10mくらい降りて、休憩と滑降準備。続々と登ってくるので、自分の居場所確保と、他の人の撮影のジャマにならないような配慮は大事。マナーとして、山頂の撮影ポイントの画角内にはいないことが重要。

最初のドロップでエッジの効き具合を確かめて、「こりゃいける」と実感。登りの人の多い中を、どんどん攻めて落とす。祓川神社からヒュッテまでの平な部分でストップスノーを感じるくらいで、雪面のコンディションは、縦溝もなく過去最高と言っても良いくらいだった。実質20分ちょっとの滑降、最後の平な部分の「漕ぎ」があって30分で下山完了。9時半だったが、この時間から登りだす人もいるくらいだった。

まったりと余韻を楽しみつつも、上の駐車場が満杯だったので「空けてあげるか」と配慮して下の駐車場に移動。下の駐車場でテーブルと椅子出して、鳥海山を見ながらのコーヒータイム。この余韻の一時が大事。着替えしたりしながら、山みて、コーヒー飲んで、写真撮って、いろいろ考えて。往復3時間半ほどの登山ながらも、充実度は高かった。この倍以上かかる白馬岳登山が2日前だったということも、影響はしている。

フォレスタ鳥海の温泉に下りるまでの間のブナ林がすばらしく、森の中の雪面の上を徘徊。虫(ブユ?)が凄まじい勢いで襲ってくるが、全身に虫除けスプレー吹きまくったら寄り付かなくなった。

そのあたりのブナ林は、太い木はほとんどなくて、一度「皆伐」クラスの伐採をして、同年代の美林に成長しているという感じ。樹齢80年超のブナ林はもちろん素晴らしいが、若いブナ林には、もりもりと湧き上がる力が感じられて、この雪上徘徊はやめられない。

時間帯的にガラガラだったフォレスタ鳥海の温泉で体を癒やし、「ももや」のお蕎麦をいただいて帰路についた。

定番の鳥海山ツアーを、60歳でも余裕でできたことに感謝。まだまだ行ける感じ。